貸金庫の開錠は、分割協議が終了し、貸金庫の借主の地位を相続人の誰が相続するかのが明らかになる前と後では、異なります。分割協議の前では、貸金庫の借主は賃借人となります。その利用権、すなわち、賃借権は相続の対象となり、分割協議が整う前ですので、準共有(民264)となります。そのため、貸金庫の開錠は相続人全員の合意が必要で、相続人のうち一人が単独で開錠できません。その後、遺産分割協議が整い、賃借人の地位が特定の相続人に相続されれば、その相続人のみが開錠できることになります。
なお、遺言書がある場合でも、遺言執行者に貸金庫開錠の権限を遺言書で付与していない場合には、遺言執行者でも開けることができません。貸金庫を相続する相続人が指定されていない場合には、相続人全員の合意で開錠することになります。そのため、その地位を、すなわち、貸金庫の相続をする遺産分割協議が必要となります。
金融機関への貸金開錠の申し出の手続きには、法定相続情報等や遺産分割協議書、遺言書等が必要となります。