遺言書を次のような書き方で書かれた場合には、「遺贈する。」と同じ意味に解釈できるかどうかを説明します。
「遺言者東京太郎は、その遺産について、次のとおり相続させる。
1.長男東京一郎にA不動産
2.長女大阪花子にB不動産 」
被相続人が特定の相続財産を相続人のうちの特定の相続人に相続させるとする遺言をした場合には、特定の財産を遺贈したものと理解することも可能です。
あるいは、遺産分割において、特定の者に特定の財産を取得させるにあたり、その遺産分割の方法を指定するものと解釈することも可能です。
そのため、「相続させる」という書き方は、「遺贈する」の意味と「遺産分割の方法の指定」すると解釈ができてしまい、相続人の間で、その解釈の相違が生まれてしまい兼ねませんでした。もしも、遺産分割の方法の指定の意味で解釈されますと、改めて、遺産分割協議がないとそれぞれの不動産の相続ができないことになります。
そこで、次の最高裁判所の判決によって、
「当該遺言において、相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らかの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時(遺言の効力を生じた時)に直ちに相続により承継される。」(最判平3.4.19)との判決が出たことにより、「相続させる」の意味を「遺贈」の場合と同様の取り扱いとしました。